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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


サヤカ 「なーんか、カワイイよね。男の子たちって、金的の話になると無口になるんだよねー」

男の子から離れた後、サヤカはおかしそうに笑った。

マナ 「ホントだよね。あんまり話したくありません、みたいな。きっと、ウチらの方が金的について、よく話してるよね」

チヒロ 「確かにね。男子ってさ、絶対金的は狙わないもんね。なんでだろ。金的狙えば、簡単に勝てるのにね」

サヤカ 「それはやっぱり、自分たちにもタマタマがついてるからじゃないの? もし人のを蹴ったりしたら、次は自分がお返しに蹴られるかもしれないじゃん」

チヒロ 「そっかあ。やったらやられる、みたいな感じね。面倒くさいね、男子って」

チヒロは憐れむように笑った。

マナ 「ホント。アタシ達はタマタマとかついてないから、お返しされる心配ないもんね。まあ、オッパイを突かれたら、けっこう痛いけどさ。金的よりマシなんだろうねー」

サヤカ 「えー。でも、オッパイもけっこう痛いよー。男子にもオッパイがあれば、痛いはずだって」

マナ 「そうかなあ」

女の子たちは話しながら、すでに日が暮れて薄暗くなった帰り道を歩いていく。
すると、前方に自動販売機があり、そこに学生服を着た男子中学生たちがたむろしているのが見えた。
彼らは何をするでもなく、自動販売機の明かりの下で、雑談をしているようだった。
よく見ると、足元にはタバコの吸い殻らしきものが数本、落ちている。
どうやら、ちょっとした不良中学生らしいと、サヤカ達は直感したので、その場にさしかかったところでおしゃべりをやめ、無言で通り過ぎようとした。

コウヘイ 「お稽古のお帰りですか。お疲れさまでーす」

中学生達は3人いて、その中の一人、コウヘイが、いかにも女の子たちをバカにした様子で声をかけてきた。

マサキ 「女が空手かよ。くっだらねえ」

学生服のボタンを大きくはだけさせたマサキが、唾を吐き捨てながら言った。
この言葉に、サヤカ達は少し反応して、中学生達の方を見た。

トモヤ 「おい、やめろよ。ほら、怒ってるだろ。ゴメンねー。つい、ホントのこと言っちゃって」

もう一人のトモヤもまた、ヘラヘラと笑いながら、謝るふりをした。
たまりかねたサヤカが、まず口火を切った。

サヤカ 「女が空手して、何がくだらないのよ」

すると、中学生達はサヤカの反応が予想外だったようで、それに答えるよりも先に、3人で顔を見合わせて笑った。

マサキ 「おいおい! 俺らに言ってんの? マジで?」

コウヘイ 「何がくだらないのよ! だって。ハハハ!」

トモヤ 「マジになんなっての。冗談だよ、冗談」

サヤカだけでなく、マナとチヒロも、この態度には頭に来てしまった。

チヒロ 「言っとくけど、アタシ達は男子よりも強いんだからね」

マナ 「そうよ。今日だって、男の子たちと試合して、勝ったんだから!」

二人は猛然と言い放ったが、中学生達には小学生の戯言としか受け止められなかった。

マサキ 「はいはい。たかが試合だろ。しかも、小学生の」

トモヤ 「どうせ、判定勝ちとかだろ。単なるスポーツじゃん、それって。女がいくら空手なんてやっても、男とマジでケンカして、勝てるわけねえだろ。だから、くだらないんだよ」

女の子たちの怒りは、頂点に達した。
中学生達はいずれも彼女達より背が高く、ケンカの経験もありそうだったが、そんなことは関係なかった。

サヤカ 「だったら、アタシ達とケンカしてみる? 本気でやってあげるよ!」

マナ 「そうだよ! 判定勝ちじゃないし。アタシ達が男子よりも強いってこと、証明してあげる!」

チヒロ 「男になんて、絶対負ける気しないもん!」

彼女たちの剣幕と、その言葉に、さすがに中学生達も気分を害した。

マサキ 「ああ? お前らが、俺らとケンカするのかよ? いいぜ。やってやるよ」

コウヘイ 「なめんなよ、小学生の癖に」

トモヤ 「女だからって、手加減しねえぞ、コラ!」

中学生たちが言い終わらないうちに、サヤカ達は身構えた。
まずは一番前にいたサヤカに、コウヘイが襲いかかった。

コウヘイ 「おら!」

コウヘイはポケットに手を突っこんだまま、無造作に蹴りを放った。
それはケンカでは有効でも、空手では無防備すぎる攻撃だった。サヤカはその蹴りを両手でしっかりとガードする。
そして大きく開かれたコウヘイの股間は、サヤカにとって易しすぎるターゲットだった。

サヤカ 「えい!」

試合の時にケンタに放った蹴りに勝るとも劣らない、強烈なキックを、サヤカはコウヘイの股間に打ち込んだ。

コウヘイ 「あうっ!」

コウヘイはすぐさまポケットから手を出し、両手で股間をおさえ、前かがみになってしまった。
すでに重苦しい痛みが、下腹部全体に広がっている。

コウヘイ 「ああ…く…」

やがて膝から力が抜け、その場に座り込んでしまった。
サヤカの前にひざまずくような形で、コウヘイは痛みと戦うことになる。

サヤカ 「どうだ!」

サヤカはコウヘイを見下ろして、勝ち誇ったように言った。
ほとんど同時に、マナとマサキの勝負も決していた。
マサキは空手の構えを取るマナに対して、その手を掴みにかかった。
両手の自由を奪って、押し倒してしまおうという考えだった。
しかし、それはマナにとっても思うつぼだった。
両手を掴まれたところで、マナはマサキの注意が下半身に向いていないことを見抜き、股間に前蹴りを放ったのである。

マナ 「せい!」

可愛らしい掛け声と共に、マナの右脚はマサキの股間に吸い込まれた。

マサキ 「つっ!」

先ほどの言葉通り、マナはマサキの金玉を足の甲に乗せるようにして蹴り、なおかつ足首のスナップを聞かせて、えぐるようにして蹴り足を戻した。
ユウキとの試合の時を上回る手ごたえを、マナは感じていた。

マサキ 「ああっ! くうっ!」

蹴られたマサキには、地獄が待っていた。
蹴られた瞬間は、金玉の表面を鋭い痛みが走り、そのすぐ後を追いかけるようにして、大波のような鈍痛が体全体に広がっていく。
その時にはすでに、マサキの意志とは無関係に彼の体は地面に転がっていて、奇声を上げながら身をよじって、苦しむ羽目になっていた。

マナ 「どう? 男の子なんか、キック一発でこうなるのよ!」

自らが地獄の苦しみを味あわせているマサキに、マナは女の優越感をたっぷり含ませて言い放った。
残ったトモヤは、さすがに躊躇してしまった。
あっという間に倒されてしまった二人の友達を見て、チヒロに攻撃するのをためらってしまったのである。

チヒロ 「どうしたの? 言っとくけど、アタシも手加減なんてしないからね」

チヒロはすでに怯え始めているトモヤに、ゆっくりと歩み寄った。

トモヤ 「く…くそ…! なめんな!」

トモヤは破れかぶれになって、チヒロに襲いかかった。
しかしその気合は空回りして、チヒロに放ったパンチは、大きく空振りしてしまう。
チヒロは即座にしゃがみこんで、かわしていたのだ。

チヒロ 「えい!」

チヒロがしゃがみこむと、目の前にトモヤの股間があった。
そこをめがけて、チヒロはしゃがんだまま正拳突きを放ったのだ。

トモヤ 「はうっ!」

トモヤから見れば、目の前からチヒロの姿が消えた後、不意に股間に衝撃が走ったように思えた。
訳も分からぬうちに、体の自由が奪われた。

チヒロ 「とどめ!」

トモヤがゆっくりと内股になりそうなときに、チヒロは手ぬるいと思ったのか、起きあがる力をそのまま膝蹴りに乗せて、股間に叩きこんだ。
一瞬、トモヤの体が浮くほどの、強烈な金的蹴りだった。

トモヤ 「あがっ!」

トモヤは息をつまらせて、横倒しに地面に倒れ込んでしまった。

チヒロ 「必殺! 飛び膝金的蹴り!」

満足そうに、チヒロははしゃいでみせた。
中学生の男の子たちが、全員小学生の女の子にノックアウトされてしまった。

サヤカ 「なによ! アンタ達、全然よわっちいじゃん! それで、女は男より弱いとか、よく言えるよね」

チヒロ 「金的のない試合で手加減してるのは、むしろ女の方だよね。本気でケンカしたら、男は絶対女に勝てないよ」

マナ 「言えてる。タマタマのついてる男とか、全然怖くないもん。むしろ、女の子の方が手強いよね」

女の子たちは怒りをおさめたようで、やがて口々に男を罵倒した。
中学生達はもちろん、男のプライドにかけて言い返したかったが、現実はそれどころではなかった。
男だからこそ味わわなければいけない、地獄のような痛みと、必死で戦っている最中なのだ。
彼らにこんな痛みを与えた女の子たちには、金玉などついていないことを思うと、彼女たちに逆らうことができないと、中学生達は実感してしまった。

サヤカ 「まあ、これに懲りたら、もう女の子をバカにしないようにね」

マナ 「今回はちょっと手加減したけど、次は思いっきり蹴るからね」

チヒロ 「タマタマ潰してほしいときは、いつでも来ていいよ」

女の子たちは満足したようで、中学生達を残し、去っていった。

マナ 「ていうか、タマタマ潰れたら、女の子になるのかな?」

チヒロ 「え? どうかな。そうかもね」

サヤカ 「ウソー。タマタマが潰れても、チンチンはあるんでしょ? じゃあ、男の子じゃん」

マナ 「そっかあ。でも、タマタマなんて、潰れた方がいいかもね。急所がなくなるし」

サヤカ 「でも、超痛いんでしょ?」

マナ 「その一回を我慢すればさ。あ、二個あるから、二回かな?」

女の子たちは楽しそうに話しながら、帰って行った。
その後、その場所を通ったユウキとジンは、股間をおさえて苦しんでいる中学生達を見て、誰の仕業かすぐに悟り、試合の痛みを思い出して、金玉を縮みあがらせてしまった。


終わり。



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