2ntブログ
男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。



「タカヒコ、今月もやる? やるんだったら、今日あたりがいいと思うけど」

「当たり前だ! やるぞ!」

とある高校の空手部の女子部長、マリナの問いかけに、男子部長のタカヒコは待ってましたとばかりに答えた。

「オッケー。じゃあ、練習が終わってからね」

マリナも予想通りという顔をして、ニヤッと笑った。
この空手部は男女が同じ武道場内で練習をしている。
毎日部活動をしていれば、当然、掃除や道具の手入れなどの雑務が出てくる。
誰もやりたがらないその雑務を男子と女子で押し付け合い、ついに勝負して決めようということになったのが、3か月ほど前のことだった。
勝負の内容は、もちろん空手の組手。
しかしそのルールは、彼らが日常、行っているものとは少し違っていた。

「今日のウチのメンバーは、先鋒がソウタロウ、中堅ミキオ、副将ツカサ、大将が俺だ」

「そっか。こっちは先月と同じでいいかな。サキ、アヤカ、ユラ、あとアタシ」

空手部には男女それぞれ10人ほどの部員がいるが、その中から4人選んで、勝ち抜き戦を行う。
相手側の4人を全員倒せば勝利という形だった。
ルールは顔面攻撃無しのフルコンタクトで、防具はつけない。
怪我をすることがないように、それなりに実力を持った部員を選ぶようにしていた。

「よし! それでは、始め!」

最初の試合は、一年生のソウタロウとサキだった。
男子部長のタカヒコが審判役も兼ねる。公平を期すために、女子部長のマリナも試合を注視するつもりだった。

「ソウタロウ! 落ち着いていけ!」

「サキ! 頑張って!」

試合をする4人以外にも、男女の部員たちが声援を送る。
この方法で毎月の掃除当番を決めるようになってから3か月ほどが経つが、いつの間にか空手部内での人気行事のようになっていた。

「えぇいっ!」

二人は軽いフットワークでしばらく相手の出方をうかがっていたが、先制したのはサキだった。
大胆に踏み込んで、正拳突きをソウタロウの胸に打ち込む。
しかしソウタロウは、これを冷静に見切って、バックステップでかわした。

「いいぞ! ソウタロウ!」

「カウンター、気をつけて!」

ソウタロウは一年生だったが、中学生時代も空手部に所属しており、すでに黒帯の腕前だった。
一方のサキも、同じように中学時代に黒帯を取っている。
タカヒコたちの見る限り、二人の技術は拮抗しており、勝負を決めるとすれば、やはり男女の体格差だったろう。

「ふんっ!」

ソウタロウが下段蹴りを放つと、サキはそれを脚で受け止めた。
しかし間髪入れず、ソウタロウの脚は中段蹴りを狙う。
これもなんとか肘を下げてガードしたサキだったが、その衝撃は強い。
彼女の体勢が崩れたと見るや、ソウタロウはすぐにもう一歩踏み込んで、蹴り脚とは逆側の、ガードが緩くなった脇腹へ下突きを放った。

「んっ!」

ソウタロウの拳が、サキの脇腹へ突き刺さる。来ると分かっていて、腹筋を固めたつもりだったが、やはり男子の拳はスピード、重さともに女子のものとは違っていた。
思わずサキは、脇腹をおさえて片膝をついてしまう。

「一本! 勝者、ソウタロウ!」

タカヒコが手を挙げて、試合を止めた。
防具を着けずに行っているため、ケガをしないよう、先に一本を取った方を勝ちにしている。
女子部長のマリナも、納得したようにうなずいた。

「ありがとうございました! 大丈夫か?」

「あ、うん。平気平気」

ソウタロウはサキに手を貸し、サキもそれほど痛がる様子もなく、立ち上がった。
ごく普通の、空手の試合だった。
ここまでは。
タカヒコをはじめ、男子たちも勝利を喜ぶ風でもなく、むしろここからが勝負だと言わんばかりに緊張している。

「先輩、すいません。負けちゃいました」

「うん。いいよ、いいよ。お疲れ様。しょうがないね。じゃあ、脱ごうか。今日も下からにする?」

「はーい」

マリナがそう言うと、試合をすることになっている4人の女子全員が、おもむろに帯をほどき始めた。
スルリとズボンを降ろす瞬間、それぞれの女の子のパンティーが垣間見える。
しかし空手着は上着の裾がかなり下まで伸びているから、ズボンを脱いでも、また帯を締めなおせば、かなりの部分が隠れるようになっていた。

「よし。まあ、こんな感じで。準備オッケー!」

女子たちは何事もなかったかのように、またその場に正座した。
これがこの男女対抗勝ち抜き戦の特別ルールだった。
要するに野球拳のようなもので、負けた方は一枚ずつ服を脱いでいくことになっているのだ。
高校生の男子にとっては夢のようなルールだったが、それも試合でなければという話。
有り余る精力を空手の稽古に打ち込むことで解消させている彼らにとっては、期末試験の最中にエロ本が目の前に来たようなもので、どちらにも集中できるはずがなかった。

「じゃあ次は、アヤカかな」

「はい! 行きます!」

二年生のアヤカが立ち上がると、健康的な太ももがあらわになった。
ソウタロウは先ほどの勝利の余韻も忘れ、ついその両脚に目が釘付けになる。

「ちょっと! どこ見てんの?」

「あ、す、すいません…」

先輩に言われて、ソウタロウは思わず頭を下げた。
この勝ち抜き戦は今回で4回目になるが、男子たちの目が慣れるということは全くなかった。
むしろこの状況を目に焼き付け、あらぬ妄想を膨らませ、自宅で励んでいる男子部員も相当数いるだろう。
そうなると、もう彼女たちの思うつぼである。
一度性欲の対象になった女性を、試合の相手として扱うのは難しいという男の本能を知っているかのような女子たちの作戦だった。

「ねえ、また見てるよ、男子」

「ホント、懲りないよねー。みんな、スケベな顔してる」

周りで見ている男子部員たちも、いつの間にか静まり返ってしまっていた。その目は、ズボンを脱いだ女子たちの下半身に集中している。
一方の女子たちは、性的な気持ちと日常生活をはっきりと区別することができる。
試合中にムラムラした気持ちが抑えられないということはないし、そもそも男子の裸を見ても、いきなり興奮するということもない。
空手の実力は男子の方が上だったが、この女子の作戦によって、この数か月、男子たちは掃除当番から雑用まですべて押し付けられているのだった。

「では、二回戦、始め!」

ソウタロウは気を取り直してかまえた。
しかしアヤカが大きく足を開いてかまえると、試合に集中しようという気持ちも一気に吹き飛んでしまう。
それはもちろん、通常の空手のかまえなのだが、上着の裾からチラチラとのぞくパンティーが、彼の集中力を猛烈な勢いで奪ってしまっていた。

(今日は、ピンクだ)

前回は白だった。
つい、そんなことまで考えてしまう。
さらに。

「えいっ!」

アヤカが脚を上げて蹴りを放つと、一瞬だが、その下着があらわになる。
そうなるともう、そこにしか目がいかない。
ガードするだけで精一杯で、カウンターを取ろうなどとは考えもしなかった。
試合の最中とはいえ、ソウタロウは自分の下半身に急速に血液が集まり、熱くなりつつあるのを感じてしまった。

「ねえ! どこ見てんの! 真面目に試合しなさいよ!」

「は、はい!」

ソウタロウの視線に気がついたアヤカが注意する。
しかしこれも女子たちの作戦で、こう言えば、さすがにしばらくは下半身に目がいかなくなると考えてのことだった。
男子にとって、それがどれほど危険なことかも、つい忘れて。

「隙あり!」

落ち着くためだったのか、つい視線を外してしまったソウタロウの股間めがけて、アヤカが脚を振り上げた。

「わっ!」

ソウタロウは慌てて腰を引き、これをかわした。
ヒュッと、蹴りが風を切る音が聞こえた。それは男にとって、この上なく恐ろしい音だった。

「あー、惜しい! いいよ、アヤカ! その調子!」

「先輩! 落ち着いて、狙っていきましょう!」

女子部員たちから声援が飛ぶが、男子部員たちのほとんどは息をのみ、声が出なかった。
この組手では、女子からの金的攻撃が一度だけ認められている。
それによって一本を取られることはないが、男子はファールカップを着けておらず、きれいに当たれば試合続行不可能か戦意喪失によって負けることは確実だった。
逆にその一度をうまくかすらせて、その痛みに耐えることができれば、男子は相当有利になるはずで、女子にとっては金的攻撃をどう当てるかに勝負がかかっていた。

「ふう…はあ…」

ソウタロウはうっかりと金的攻撃を忘れていた自分を反省し、深呼吸した。
しかし、下半身ばかり見ているわけにはいかない状況に変わりはない。
とにかく冷静に、落ち着いて金的攻撃をさばき、アヤカに攻撃を当てるしかなかった。

「行くよ! えいっ!」

アヤカはしかし予想外に、上段の正拳突きを放ってきた。
二人には身長差があったから、その突きは自然とソウタロウの胸に吸い込まれる。
ソウタロウはまたバックステップでこれをかわした。

「やっ! はっ!」

後ろに下がるソウタロウを追うようにして、アヤカが次々に突きを放ってくる。
さすがに上級生ということで、その突きは先ほどのサキよりもずっと鋭かった。

「くっ!」

なんとか突きをかわし続けるソウタロウだったが、その足元からまたしても恐るべき蹴りが迫ってきていた。

「うわっ!」

意表をついて出したアヤカの金的蹴りを、ソウタロウは奇跡的にかわすことができた。
あるいは以前も彼女と対戦し、その時に蹴り上げられた股間の痛みの記憶がそうさせたのかもしれない。
ギリギリで腰を引くと、その反動を利用して、前蹴りを繰り出した。

「うっ!」

これが見事にアヤカのみぞおちに決まり、その場でダウンしてしまう。

「一本! 勝者、ソウタロウ!」

薄氷を踏むような勝利だった。
最後のアヤカの金的蹴りがもし決まっていれば、今ごろソウタロウは立っていなかっただろう。

「あー! また負けちゃったか」

「ドンマイ、アヤカ!」

アヤカはきれいに前蹴りが決まったようで、お腹をおさえながらマリナたちのもとに帰ってきた。

「ごめーん。負けちゃったぁ。あと、任せていい?」

「うん。まあ、しょうがないね。じゃあ、脱ごうか?」

マリナたちはアヤカを責めるわけでもなく、意を決したように、また帯に手をかけた。
ソウタロウはもちろん、道場にいた男子たち全員の目が、釘付けになる。
帯をほどき、上着を脱ぐと、Tシャツも着ていない彼女たちは完全に下着姿になってしまった。

「うおっ…!」

男子の誰からか、思わず声が漏れる。
女の子たちが身につけているのは普通の下着ではなく、スポーツブラとショーツだったが、そんなことは男子高校生には関係がない。
むしろ最近のスポーツブラはお洒落で、しかも通気性を重視しているのか、大部分がレース地になっているものもある。
どちらにせよ、生で女性の裸を見たことのない彼らにとっては、刺激的すぎる光景だった。

「うおって何よ、このスケベ!」

「いやらしいこと考えてられるのも、今のうちだからね!」

ソウタロウが二連勝し、女子の方はあと2人しかいない状況だったが、それでも女子部員たちには余裕があった。
むしろ勝負はここからだという意識すらある。
事実、先月の勝ち抜き戦ではここから男子が4連敗したのだった。
その原因はすべて、女子の副将であるユラにある。

「じゃ、さっさと始めよっか」

突然、無口になってしまった男子部員たちを急かすように、ユラは開始位置についた。
審判役のタカヒコでさえ、自分の仕事を忘れそうになる。

「よ、よし。始め!」

試合開始となったが、ソウタロウの目はある一点に止まったまま、動かすことができなかった。
それはタカヒコも、道場内にいるすべての男子がそうである。
男たちの目が集中しているのは、ユラの胸だった。
高校生とは思えない巨乳が、そこにある。

「よし! 行くよ!」

ユラが少し動くだけで、その巨大な塊が大きく揺れる。
雑誌のグラビアでさえなかなか見れないような抜群のスタイルが、下着一枚に包まれた姿で、目の前にあった。
もはやソウタロウは、試合どころではない。

「いやぁ、今回も見てるねー。男子はみんな、無言じゃない?」

マリナが話しかけると、アヤカもうなずいた。

「ユラ先輩の胸、すごいですもんね。女子でも見ちゃいますよ。何カップあるんですか?」

「えーっと、最後に聞いたときには、95のHカップだったかな。今はもっとあるかも」

「Hって、どんだけなんですか。それは男子も見ますよ」

「そうだよねー。それで先月は4連勝したもんねー」

まさしくユラは、女子空手部のリーサルウェポンと言ってよかった。
しかもその空手の実力も確かで、普通に組手をしても、おそらくソウタロウは勝てないだろう。

「……」

ユラがかまえても、ソウタロウは半分ぼうっとしたように突っ立ったままだった。
先ほどからアヤカのパンティーを間近で見ている上に、ユラの巨乳の谷間まで目の前に迫ってくれば、もう何も考えられなくなるのも無理はない。
心持ち前かがみになってきたソウタロウの姿勢を見て、ユラはすっとかまえをとき、にっこりと笑いかけた。

「こら! ソウタロウ!」

「あ、は、はい!」

柔らかそうな胸の谷間がしゃべったような気がして、ソウタロウははっと顔をあげた。
次の瞬間、ユラの脚が振り上げられ、ソウタロウの股間の急所をスパン、と蹴り上げた。

「うぐっ!!」

「ボーっとするんじゃない!」

前のめりに崩れ落ちるソウタロウを、ユラは叱りつけた。
普段ならかわすのに造作もない金的蹴りだったが、女性の胸に目を奪われた男には、回避不可能だった。

「あ! ま、待て!」

女子に一度だけ認められている金的攻撃が、今回初めてきれいに決まった。
これは一本にはカウントされないが、ソウタロウはダウンとなる。
ここから5秒以内に立ち上がらなければ、彼の負けだった。

「ソウタロウ! 大丈夫か?」

「まだいけるぞ! 頑張れ!」

男子部員たちが声援を送るが、そのダメージは深刻だった。

「ムリムリ。きれいに入ったもん。どうせまだ一人目なんだから、休ませてあげなさいよ」

蹴ったユラの方が、よく分かっているようだった。
この空手部では女子は普段から金的蹴りの練習をしており、組手で当ててしまうこともよくある。
三年生のユラにとっては、その手ごたえから男の痛みを予想することも可能なようだった。

「いけるか? …無理だな。よし。勝負あり! 勝者、ユラ!」

脂汗を流しながら首を振るソウタロウを見て、タカヒコは即座に試合を止めた。

「イエーイ! まずは一勝ね! 今日も4人抜きしちゃうよ!」

はしゃぐユラとは対照的に、ぐったりとした様子のソウタロウは、男子部員の肩を借りて退場した。





「じゃあ、男子も脱ぐか」

タカヒコが言うと、男子部員たちは無言で帯をほどき、上着を脱いだ。
たくましく鍛えられた肉体が現れたが、もちろんそれに欲情する女子などいるはずもなかった。

「次はミキオか。頑張れよ!」

「はい! やります!」

ミキオは、空手部の中でも期待されている二年生だった。
入部した時から身長が高く、がっしりとしていたが、一年間みっちりと鍛えたことで、さらに体格がよくなった。
男子の大会においても、ちょっとやそっとの攻撃は跳ね返してしまうような筋肉の鎧に覆われている。

「へー。またマッチョになってきたね。腹筋もきれいに割れてるじゃん。すごーい」

ユラが言うように、ミキオの腹筋は俗にいうシックスパックのようにきれいに割れていて、とても女子の拳では歯が立ちそうになかった。
ミキオも褒められて、悪い気はしない。

「ま、アタシが狙うのはその下だから。気をつけてね」

ユラはウインクして笑った。
金蹴り予告といったところだった。

「では、始め!」

四回戦目が始まった。

「おう!」

ミキオは気合を入れてかまえたが、目の前にいる相手はどういうことだろう。
黒いスポーツブラにはまったくおさまりきらない大きな胸が、柔らかそうに波打っている。
しかも長身のミキオから見れば、胸が大きすぎて、ユラのお腹の部分がほとんど隠れてしまっている。
女の子の胸を殴るわけにはいかないから、男子は普通、脇腹などを狙うのだが、手を伸ばせば波打つ胸に触れてしまいそうで、ミキオは攻撃しづらかった。

「来ないなら、こっちから行くよ!」

手を出しづらそうなミキオを見て、ユラが先に動いた。
ミキオの懐に踏み込んで、突きを放つ。
ブルン、と胸が上下に大きく揺れた。

「えいっ!」

ユラの拳を、ミキオは腕でガードした。
やはり女子の攻撃で、その衝撃はさほどでもない。
しかしユラは足を止めて、次々に突きを打ち込んでくる。
体全体を押し付けるようにしてくるので、ミキオの目のすぐ真下に、深そうな胸の谷間が見えた。

「はっ! やっ!」

ミキオはガードを固めていたが、やはり何発かはいい攻撃をもらってしまう。
やがて左の脇腹にいい下突きをもらったときに、ミキオは反射的にユラを押し返そうした。
ムニュっと、彼が今までの人生で感じたことのない、恐ろしく柔らかい感触が、両腕に伝わってきた。

「あ…ん!」

ユラがわざとらしく色っぽい声で反応すると、ミキオの戦闘モードが一気に解除される。

「あ! す、すいません…」

「ううん。こっちこそ、ゴメンね?」

焦るミキオの反応はユラの予想通りで、にっこりと笑顔を浮かべながら、軽く丸めた掌底で、ミキオの金的をすくい上げた。

「はうっ!!」

腕の力を抜き、肘から下を加速させるようにして男の股間を狙い撃つ。
金的攻撃には重さよりもスピードが重要という基本を熟知した、ユラの金的攻撃だった。
ユラは自分の右の掌の上に、ミキオの睾丸が二つとも乗ったことを確認し、それをぐっと恥骨に押し込むように持ち上げた。
手を引くときに何も感じなかったのは、ミキオの睾丸が体内に上がってしまったからだと、彼女の経験が教えていた。

「ぐ…えぇ…!!」

股間に杭を打ち込まれるような衝撃が走り、その苦しみは喉の奥まで上がってきた。
ミキオの大きな体が、あっという間にエビのように小さく丸まってしまった。

「勝負あり! 勝者、ユラ!」

タカヒコはすぐさま、試合を止めた。
誰も文句が出ないほどの、ミキオの苦しみようだった。

「イエーイ! 2連勝!」

「だ、大丈夫か、ミキオ?」

はしゃぐユラの足元で、ミキオが震えていた。

「あー、ゴメンね。たぶん、タマが上がっちゃってると思う。大丈夫かな?」

「おい! 運んでやれ!」

タカヒコが指示すると、男子部員たちはミキオの両脇を抱え運んでいき、道場のすみに寝かせた。

「ゴメンねー。ちょっと力が入っちゃったなー。痛いんだよねー?」

ユラは巨乳を揺らしながら、ミキオに声をかけてやった。
しかしその様子はどこか他人事で、自分には縁のない苦しみであると分かりきっている女の子の口ぶりだった。
一方の男子部員たちは、悲惨な状態になったミキオを見て、先ほどとは全く違った静まり返り方をしてしまっていた。
その男子の様子を見て、女子部員たちは勢いづいた。

「ほら、どうしたの? あっという間に2連勝じゃない。さっきまでスケベな顔して見てたくせに!」

「金的されるのが怖くなっちゃった? あんまりビビんないでよ。縮んだら、狙いにくいからね!」

この勝ち抜き戦もすでに4回目なので、ある程度卑猥で挑発的な言葉も飛び出すようになってきていた。

「よし。脱ぐか」

タカヒコが言うと、男子部員たちは道着のズボンを脱いだ。
彼らは皆、トランクスなどではなく、ピッタリと肌に張り付いた下着を身につけていた。
普段はファールカップを着けるときもあったし、その方が動きやすいからだろう。

「じゃあ、次はツカサか」

「おう!」

立ち上がった三年生のツカサは、特に面積の狭いビキニブリーフを履いていた。
これに特に意味はなく、彼の趣味の問題だったが、がっちりとした体格によく似合っていた。

「ちょっと。ずいぶん小さいパンツ履いてるじゃない。そんなに裸を見せたいの? ヘンタイ」

ユラは同級生の気安さもあって、ツカサのパンツをからかった。
かといって恥ずかしがるわけでもなく、堂々とツカサの股間の盛り上がりを指さして笑っている。

「うるせえ! そっちだって、ヘンタイみたいな恰好じゃないか!」

この勝ち抜き戦で、ちょうど下着姿になる順番に巨乳のユラをおいていることは、女子たちの明らかな作戦だった。
男子たちはその作戦に見事にはまって、先月は4連敗してしまっている。
その悔しさがツカサの口をついて出た。

「言ったわね! どっちがヘンタイか、はっきりさせてあげる!」

ツカサの言葉に、ユラは反応した。

「よし。では五回戦、始め!」

タカヒコが開始の合図をすると、ツカサはその場に腰を落としてかまえた。
対するユラは、少し前かがみになって、ツカサを観察するようにじっと見つめている。
その姿は、男に何かをせがむ女の子のようにも見えた。

「…くっ!」

このヘンタイ女め、とツカサは思った。
彼は女嫌いというほどでもなかったが、空手部の男子の中では一番ストイックに稽古に励んでいる。
自分が青春をかけている神聖な空手の試合で、男を誘惑するようなことをする女子たちが、内心許せなかった。

「あ、ちょっと待って。動いたら、ズレてきちゃった。よいしょっと」

と、ユラはわざとらしくブラジャーに手を入れて、下から持ち上げるようにしてその豊満な胸の位置を直した。
その重さ、柔らかさは自分たちが想像もできないほどのものだと、男子全員が頭の中で考えていた。

「ふう。おっきすぎるのも、けっこう大変でさ。…って、アンタも気をつけたほうがいいよ。大きくなったら、はみ出ちゃいそうだもんね。それ」

と、ユラはツカサの股間の膨らみを指さした。
確かに彼が履いているビキニブリーフでは、全開まで勃起したら、頭がはみ出てしまうかもしれない。
実際にはみ出るかどうかは問題ではなく、ツカサにそれを意識させるのがユラの作戦だった。

(まさか…。試合中に勃起するか…!)

まさかとは思うが、少しでも股間に意識が向けば、それがスイッチになってしまうのが男の体の習性だった。
まして目の前には絶好のオカズがある。
ツカサの下半身に、急速に血液が集まり始めていた。

「さて。来ないなら、こっちから行こうかな」

と、作戦の種をまき終えたユラは、無防備に胸を揺らして近づいてきた。
すでに頭の中が「勃起するかしないか」という性的ファクターによって占められはじめていたツカサは、動揺した。

(これは…無理だ…)

格闘ゲームなどで、露出度が高い女性キャラはよく見る。
格闘技をやるとは到底思えない、可愛くてスタイルのいい女の子が、水着のような恰好をして、普通に戦っている。
あれはウソだ、とツカサは身をもって知った。
あんな格好をした女の子と、男が向かい合って、普通に試合ができるわけがない。
なぜなら今、自分は目の前にいる下着姿の女の子に、触れることすらためらうぐらいなのに。
ゲームのように遠慮なく、ボコボコに殴れるはずがない。
かまえることもせずに、胸の谷間を見せつけながら迫ってくるユラに、ツカサは自然と後ずさりしてしまった。

「あれ? どうしたの? 腰が引けてるよ? ちょっとはみ出そうになってる?」

ツカサはぎくりとしたが、表面上はかまえをとかず、ユラから目を離さなかった。
まさか、勃起しているはずはない。
しかし、もしかして。
そう考えると、無意識に右手が下腹の方へ降りていってしまう。
ユラはツカサのその動作に、吹き出してしまった。

「アハハ! やっぱり気になるんだ? ウソウソ。はみ出てないよ」

ツカサはホッとした。
しかしその次の言葉に、男として思わず反応してしまう。

「まだ半勃ちくらいじゃない? それともそれがマックスかな?」

イチモツの大きさを女の子に見定められて、反応しない男はいない。
ツカサはえ?と、自分の下半身に目を落としてしまう。
ユラは野生動物を狩るハンターのように、注意深くその瞬間を待っていたのだ。

「隙あり!」

ツカサの視線が外れると同時に、一気に間合いを詰めて、思い切り左脚を伸ばす。
ビキニパンツに包まれて、キュッと引き締まった自分の股間がグニャリとひしゃげるのを、ツカサは目撃することとなった。

「はうっ!?」

ユラは勝利を確信した。
彼女の経験の中でも、そう多くないほど見事な手ごたえだった。
この感触があるとき、男は間違いなく一撃で沈む。
少なくとも30分以上は股間をおさえて、女は決して味わうことのない痛みにうずくまることになる。
危険な獲物をうまく仕留めたときのような快感をユラは感じ、それが油断につながった。

「くっ! ああっ!」

ツカサは苦痛に顔をゆがめながら、拳を繰り出した。
金玉の痛みは、それ自体に打撃を受けた瞬間を第一波。
その数秒後に訪れる、下腹部全体に響くような痛みを第二波とする説がある。
この第二波が来たときには、男は間違いなく動けなくなる。
その痛みはとても我慢できるものではなく、何も考えられなくなり、男に生まれたことを後悔する時間がひたすら続く。
しかし金玉を蹴られた瞬間の第一波の痛みは、何とか我慢できる場合もあるのだ。
アドレナリンの状態やアルコールの摂取量など様々な要因で、痛みが緩和されることがある。
だから女性が金的攻撃をする場合、蹴った後、第二波が来るまでの数秒間は、注意をしなければならない。
手ごたえがあったとしても、このツカサのように、思わぬ反撃をしてくる場合があるからだ。

「あっ!」

ユラはまったく予想外の攻撃を、避けることができなかった。
ツカサは金玉を蹴られたことで、一瞬にして冷静になることができた。
それは、男が射精した後の賢者タイムと呼ばれる時間に似ているかもしれない。
強烈な金的蹴りによって、性衝動が頭から追い出され、普段の稽古通りに体が動いたのだろう。

「一本!」

ツカサの拳は無防備なユラの脇腹に突き刺さり、タカヒコは一本を取った。
ユラが苦痛に顔をゆがめる。
しかしその時にはすでに、ツカサは前のめりに崩れ落ちて、股間を両手で押さえたまま尻を高く上げ、ピクリとも動かなくなっていた。

「おい! 大丈夫か?」

もはや試合どころではなく、明らかな戦闘不能状態だった。

「アイタタ…。もらっちゃったー。でも、そっちもダウンしたから、引き分けかな?」

ユラは打たれた脇腹をさすって、痛そうな顔をしていた。
当たり前だが、ツカサの苦しみはその比ではない。

「いや…。金的は一本じゃないから。ギリギリでツカサの勝ちだ」

戦闘不能になる直前に攻撃を当てたということで、ツカサの勝利と判断したらしい。
金的攻撃は認めるが、それで一本は取らないという条件は男子の方から出した妥協案だったが、それが今回はうまく機能した形になった。

「えー! ウソ! だって、相打ちじゃない。そんなのあり?」

タカヒコが女子部長のマリナを見ると、マリナも渋々うなずいた。

「しょうがないわね。そういうルールだから」

「そうなの? 引き分け延長じゃダメなの? アタシはまだやれるよ。もっと強く蹴ってあげてもいいんだよ?」

ユラは悔しさから興奮しているのか、挑発するように言った。
うずくまるツカサと、それを見下ろすユラ。確かに誰の目から見ても、勝負に勝ったのはどちらか、はっきりとしていた。

「ルールはルールだからな」

ツカサの肩が細かく震えている。
彼本人は、もはや勝敗などどうでもいいほどの苦しみに耐えているようだった。
しかしタカヒコはこの勝敗にこだわった。
彼の計算では、ツカサのこの犠牲により、男子チームの初めての勝利が確定するはずだった。

「さあ! こっちの勝ちだぜ。大人しく脱いでもらおうか。それとも、ギブアップするか?」

女子はこの敗北によって、ブラジャーかパンティーのどちらかを脱がなくてはならない。
前回の勝ち抜き戦までは、ここまでたどり着くことはできなかった。
逆にユラが3連勝して、パンツ一枚の男子はそれを脱がねばならず、その時点でギブアップしたのである。
男でさえ、女子の前で全裸になることだけは避けたのに、女子が下着をどちらかでも脱ぐことなど考えられなかった。

「さあ、どうする?」

タカヒコは重ねて尋ねた。
彼の予測では、下着を脱がずに女子はギブアップするはずだった。
さすがに気の強いユラも、不安そうな表情でマリナを見ている。
マリナはタカヒコの自信満々の表情を黙って見ていたが、やがて決心したように立ち上がった。

「いいよ。脱ごうか。ギブアップなんてしないからね!」

え? と、皆が思うヒマもなく、マリナは自らのブラジャーを脱ぎ捨てた。

「おわっ!?」

「あっ!?」

男子からも女子からも、声が上がった。
ユラほどではないが、なかなかの大きさで形も良いマリナの乳房が、空手部員全員の目の前に現れた。

「ほら、みんな、脱ごう! 男子なんかに負けてもいいの?」

マリナは恥ずかしがることもなく、毅然とした態度で女子たちに声をかけた。
女子たちは一瞬、戸惑ったが、マリナへの信頼がそうさせたのか、うなずくと、それぞれブラジャーを脱ぎ捨てて、4人全員が乳房をあらわにした。

「よし! じゃあ、試合を続けようか?」





タカヒコは開いた口が塞がらなかった。
まさか思春期の高校生である彼女たちが、同年代の男子たちを相手に裸をさらすとは、思ってもみなかった。
そして彼らの目の前には、4人分、計8個のオッパイがゆらゆらと揺れている。
こんな状況は、アダルトビデオでも見たことがなかった。

「それで? 相手はツカサなのかな?」

突然訪れた幸運を理解できないでいる男子たちをよそに、マリナは冷静だった。

「あ…いや、できるわけないだろ、そんな…」

まだ顔をあげることすらできないツカサに試合ができるはずもなかった。

「ツカサの不戦敗ってこと?」

「まあ…そうだな…。おい、休ませてやれ!」

タカヒコが指示すると、後輩の男子部員たちがツカサを抱えて連れて行った。
まだ口もきけないほどの苦しみが、彼の全身に残っているようだった。

「じゃあ、次はタカヒコの番か。早く脱いでね」

「え?」

タカヒコは今、気がついたようだったが、マリナの言うとおりだった。
ツカサが負ければ、男子は残された一枚のパンツを脱がなければならない。
それができなければ、男子チームの負けということになる。

「早くしてよ。あー、先月は、恥ずかしくて脱げなかったんだっけ? 男のくせに、だらしないよねー」

マリナはピンク色の乳首を隠すわけでもなく、堂々としていた。
もともと男子が着ているものが一枚少ないことは、勝ち抜き戦を始めた後に分かったのだが、かといってそれを言い立てるのも男らしくないと思っていた。
そして女の子が先に下着を脱いだこの状況で、脱がないという選択をすることがどれほどカッコ悪いことか、男子全員が即座に理解していた。

「分かったよ! 脱げばいいんだろ!」

タカヒコは部長としてのプライドにかけて、パンツを脱ぎ捨てた。
豊かな陰毛に覆われたその下腹部があらわになる。

「キャーッ!?」

これにはさすがに、女子部員たちから悲鳴のような声が上がった。
男の性器を見たことなどなかった女子がほとんどだったから、当然だろう。
いまだに金玉の痛みに苦しむツカサ達はとりあえず脱ぐことは免れたが、道場の中央で、全裸の男が上半身裸の女の子と向かい合う、異様な光景となった。

「じゃあ、試合続行ってことね。タカヒコ、アンタがやるなら、審判はユラでいい?」

「あ、ああ。頼む」

全裸で女子たちの前に立つことに気負ってしまい、タカヒコはそれがマリナの作戦の一つだということに気がつかなかった。

「ところでさ、私が負けたら、女子はやっぱり最後の一枚も脱がなきゃいけないのかな?」

マリナは不意に尋ねた。
野球拳のルールに従えば、負けた数だけ衣服を脱がなければならない。
先月の勝ち抜き戦までは、最終戦まで来ることなく男子がギブアップしていたため、そこまでする必要がなかったのだ。

「え? そりゃあまあ、そうかな?」

タカヒコは逆にマリナに尋ねるようにしてうなずいた。
さすがに女子のパンティーまで脱がせるのはまずくないかという心配と、男としてはもちろん脱がせたいという気持ちが葛藤している。

「こっちは別にいいよ。じゃあ、そういうことにしようか。ね、みんな?」

拍子抜けするほどあっさりと、マリナはその条件をのんでしまった。
他の女子たちに確認すると、マリナの勝利を確信しているのか、皆、うなずいている。

「い、いいのか…?」

タカヒコを始めとして、男子たちにとってはこのサプライズはこの上なくうれしいものだった。
不純なものが混じれば混じるほど、男は本来の力を発揮できないなどということは、まったく頭にないようだった。

「いいよ。それじゃ、始めようか」

マリナとタカヒコが道場の中央に立ち、その間にユラが審判として立った。
高校生とは思えない巨乳を丸出しにした女の子二人に囲まれたという事実を、タカヒコはここで初めて気がついた。

「あ、え? ちょっと、これは…」

「最終戦、始め!」

タカヒコが意見する前に、ユラが開始の合図をした。
彼女が動くたびに、その大きな胸がタカヒコの目の前で波打っている。

「部長! 落ち着いてください!」

「マリナ! 絶対負けないでね!」

後輩たちからの声で、タカヒコは試合が始まったことに気がつくことできた。
いつものように、腰を落として、軽くフットワークをする。
いつもと違うのは、彼が体を揺らすたびに、その脚の間でブルンブルンとペニスが揺れていることだった。
さすがに下半身を丸出しで空手の練習をしたことはなかったため、これにはタカヒコ自身も戸惑っていた。

「ちょっと…! なに、アレ?」

「すっごい揺れるんだね。邪魔そー」

「テーピングでくっつけといた方がいいんじゃない?」

試合を見守る女子部員たちから、失笑が漏れた。
タカヒコや男子たちは何か言い返したかったが、それもかなわないくらい、自分たちでも無様な姿だと気がついていた。
ブラジャーを取ったマリナの胸も大きく揺れてはいるが、それは決して不思議ではない。
女性の胸は服の上からでも形が見えているため、裸になれば揺れるだろうと予想できるからかもしれない。
しかし男の股間は、こんなに揺れて邪魔なものかと、持ち主のタカヒコでさえ思った。
激しく動けば、バチンバチンと下腹や太ももに当たる。
ちょうど馬のしっぽが揺れるようなもので、その姿は見るからに滑稽だった。

「うーん…なんかさあ、集中できないね。どうしても目が行っちゃうんだけど、ソレ」

と、マリナは半分笑いながら、タカヒコの股間に目を落とした。
それなりの太さを持ったタカヒコのペニスは、まるで別な生き物のように彼の股間で揺れている。
しかも…

(ヤ、ヤバイ…!)

ただでさえ、目の前には巨乳の女子校生二人の生オッパイがあり、外野の女子たちから指摘され、またマリナの視線も意識してしまった時、タカヒコの股間は反応をおさえきれなくなってしまった。

「あれ? なんか、おっきくなってない?」

言葉に出されると、さらにまずい。
今まで懸命に抑えてきた反動なのか、タカヒコのペニスはあっという間に膨張して、高々と天井に向かって伸びてしまった。

「きゃー! ヘンタイ!」

「部長、最悪!」

女子たちはいっせいにタカヒコの勃起を非難した。
男から見れば、この状況で勃起しない方がおかしいと言いたかったが、口に出すことはできなかった。

「わー! さすが部長。すごいすごい。アハハ」

審判役のユラも、面白そうに眺めている。
タカヒコは何も言うことができず、顔を真っ赤にしてこの恥辱に耐えていた。
ここまでがマリナと女子たちの作戦通りだと思う間もなかった。

「もー。こんなヘンタイと試合しなきゃいけないなんて、イヤだなあ。でもまあ、ちょっとは動きやすくなったんじゃない?」

「う、うるさい!」

タカヒコはもう、開き直るしかなかった。
それでどうなるものでもないのだが、邪念を振り払うかのように、拳を繰り出した。
その拳はさすがに素早いものだったが、女子部長のマリナの実力も当然確かなもので、続けて何発か繰り出した攻撃は、なんなく避けられてしまう。

「く…!」

タカヒコは焦った。
やはり足を動かすたびに、股間にぶら下げているものが激しく動くのが気になってしまう。
しかも彼にとっても初めての経験だったが、金的攻撃が認められている試合で股間に何も身につけていないというのは相当心細く、マリナの金的蹴りを警戒して、あと一歩が踏み込めなかった。
そんなタカヒコの焦りと不安を読み取っているのか、マリナは不敵に笑った。

「まあまあ、そんなに焦らなくてもいいじゃん。試合が長引いた方が、じっくり見れるんだし。他の皆も、そう思ってるよ?」

女子のオッパイを生で見られるという状況を、他の男子部員たちは楽しんでいるぞということだった。
言われて、タカヒコがチラリと背後を見ると、金的を蹴られたツカサ達をのぞいて、勝ち抜き戦に参加していない男子部員たちのほとんどが、女子たちの胸を注視している様子だった。
その目が試合を見ている時のものでない、オスの目になっていることは、同じ男であるタカヒコには分かる。
おそらく彼らの道着のズボンの下では、タカヒコと同じように勃起しているものが少なくないだろう。

「そういうわけで…」

向き直ると、タカヒコの隙をついたのか、マリナが目の前に迫っていた。

「もっと近くで見てみれば?」

マリナは両腕を寄せて、胸の谷間を圧縮してみせた。
一旦はかまえたタカヒコだったが、目の前でそんなポーズを取られれば、当然、そちらに目が行ってしまう。
大切な試合の最中でも、一瞬で性的なスイッチが入ってしまう男の本能だった。
そもそもオスが闘争をするのは、繁殖のためのメスを奪い合うためである。
メスと交尾をするために、オス同士は戦い、強さを示す。
目の前で交尾を求めてくるメスを叩きのめすのは、まったくオスの理にかなった行動ではなかった。

「ほら。拳でちょんってしてみなよ?」

学年でも美人な部類に入るマリナにそう言われると、タカヒコはほとんど無意識に、自分の拳を彼女の胸に当てようとした。
そうすれば、どれほど柔らかい感触が待っているのか。
そんなことしか考えられなくなっていた。

「えいっ!」

タカヒコの拳がゆっくりと動き出した時、マリナはいきなり彼の肩を掴んで、その股間に膝を振り上げた。

「うわっ!」

一撃で致命傷になる、サソリの毒針のようなその膝蹴りを、ギリギリ掌で受け止められたのは、タカヒコ本人にとっても意外な奇跡だった。
ただ、マリナの脚は思い切り振り上げられており、タカヒコの掌ごと股間に押し込まれた。

「うぐっ…!!」

もし手で防がなかったら、どんな惨劇が待っていたのか。
それでもタカヒコの股間には、すぐに重苦しい痛みが押し寄せてきた。

「あ! ちょっと待って!」

タカヒコがしゃがみこんだのを見て、審判役のユラが二人を引き離した。

「あー、もう! 惜しいなあ! もうちょっとだったのに」

マリナは不満そうに離れた。

「金的に入ったね? 立てる?」

ユラが覗き込むと、タカヒコは苦痛に顔をゆがめていた。
直撃はしなかったものの、膝蹴りの質量は前蹴りよりもずっと大きく、衝撃が股間に響いてしまったようだった。

「続けられる?」

「あ、ああ…。まあ…」

タカヒコが顔を上げると、そこには乳牛の乳のようにぶら下がったユラの巨乳があった。
ユラ本人も上半身裸だということを忘れてしまっているようで、ちょっと手を伸ばせば届きそうなほどの位置に、ピンととがった乳首がある。
一瞬、股間の痛みも忘れてしまうほどの衝撃だった。

「やるんだね?」

「え? あ、ああ…。うん…」

ユラは一応、マリナの方を見た。
マリナはしょうがない、という風にうなずく。
腰に手を当てて、少し前かがみになりながら、タカヒコは立ち上がった。

「あ…ちょっと、いいかな?」

タカヒコは股間に手を当て、その具合を確かめると、その場で小さくジャンプし始めた。
腰に手を当てたりしながら、上がってしまった金玉を降ろしているようなその動作は、普段の試合でも金的に入ってしまった時によくやっているものだったため、あまり考えずにしてしまった。
しかし今の彼は、全裸なのである。

「へー。今、タマが上がってるわけ? どれどれ?」

男の睾丸が上がった状態を確かめたくて、ユラがタカヒコの背後に回る。
彼女の見た限り、両足の間にぶら下がっている金玉袋には、何も変化がないようだった。

「あ、いや…。そういうわけじゃ…」

タカヒコは今、気がついたかのように、両手で金玉を隠す。

「なんか、ここにタマタマが上がって、入っちゃうんでしょ? それを出さなきゃいけないんだ。狭いところからね。たいへーん」

マリナが、自分の股間の鼠径部を指さして、笑った。
薄い水色のパンティーに包まれた彼女の股間はなだらかな曲面を描いていて、もちろんそこに金玉やペニスなどはついていない。
そんな余計なものをぶら下げているだけでも不思議なのに、袋に入った金玉が蹴られて体の中に入ってしまうという現象は、彼女にとってまったく想像もできないことだった。

「も、もういいよ。大丈夫だ」

男にとって恥ずかしい作業を女の子たちの前で不用意にしてしまったことを、タカヒコは後悔した。

「もういいの? ちゃんとタマタマ降りた? 降りてこないと、蹴れないからさ」

「マリナ、もう金的は禁止だよ。一回だけだから」

「あ、そっかそっか」

マリナはおどけて笑った。
確かに彼女はもう金的攻撃ができなくなってしまったが、タカヒコの様子を見る限り、もう負けることはないだろうという余裕があった。

「部長! しっかり!」

「行けますよ!」

男子部員たちが声援を送る。
タカヒコは深呼吸して、再びかまえをとったが、やはりその下半身にはズンとお重苦しい痛みが残っていた。
もう先ほどまでのような動きができないことは、彼自身にもよく分かっていた。
マリナはその様子をじっと眺めていたが、あることに気がついた。
タカヒコの股間で、先ほどまで天を突くようにそびえていたモノが、今はしぼんでしまっている。
金玉の痛みのせいなのか、女の子のマリナにとってはそれが不思議で面白かったが、やがてあるアイデアがひらめいた。

「無理しちゃって。そんなに女子の裸が見たいわけ?」

挑発する言葉をかけながら、マリナは近づいてきた。

「そ、そんな…!」

「えいっ!」

焦るタカヒコの脚に、マリナの下段蹴りがささる。
それほど強くはない蹴りだったが、股間に衝撃を響かせるには十分だった。

「う…ぐ…!」

脚を蹴られたのに、そこよりも下腹部のダメージの方が重傷だった。
タカヒコの動きが止まると、それを予想していたマリナは、素早く彼の懐に入ってきた。
そしてその手が伸びた先は、なんとタカヒコの股間だった。

「うっ!?」

予想に反して、マリナの右手は痛めたタカヒコの睾丸ではなく、ペニスを掴んだ。

「ちょっ…!? 待ってくれ! そこは…!」

ぎゅうっと、何の遠慮もなしに、マリナはペニスを握りしめる。
その手首を掴んだが、引きはがすことはできなかった。

「は、反則だろ! 金的は一回だけのはずだ!」

タカヒコはユラに必死に訴えかける。

「えー。これって、金的じゃないじゃん。チンチン握ってるだけでしょ? 金的はタマタマのことだから、これは金的じゃないでーす」

おどけるように、しかし小悪魔のようにマリナは言った。

「そんな…!」

タカヒコは懇願するように審判役のユラを見た。
ユラはちょっと考えていたが、やがてにっこりと笑った。

「うん。オッケー! 金的じゃないね」

タカヒコは開いた口が塞がらなかった。
そしてマリナはタカヒコのペニスを思い切り引っ張る。

「痛って!」

「ゴメンねー。なんかブラブラしてるから、掴んでみたくなっちゃって。掴みやすいところにあるじゃん、コレ」

マリナがペニスを握りしめたまま左右に引っ張ると、タカヒコの体もそれにつられて動いた。
睾丸の痛みとはまた違う、ペニスを引きちぎられるような恐怖があった。

「こ、こんなの…空手じゃないだろ!」

もはやタカヒコは、言葉で抵抗することしかできなかった。

「あー、そっかぁ。じゃあさ、そっちも掴んでもいいよ。どこか掴みやすいところをさ。例えば、胸とか?」

「え?」

先ほどから、マリナの胸はタカヒコの目の前で揺れている。
タカヒコの目線が自分の胸に降りてきたと悟ると、マリナはペニスを握る手を少し緩めてやった。

「いいよ?」

白い乳房を見つめながら、葛藤している様子のタカヒコに、マリナは上目づかいで声をかけてやった。
彼女の手の中で、ペニスが急速に張りを取り戻しているのが分かったので、少しずつ、マッサージするような握り方をしてやると、あっという間にペニスは堅くなってしまった。

「え…あ…ちょ…!」

タカヒコもさすがにこの状況の行く末が想像できたようで、まずいと思い、マリナの胸を掴みかけた両手を下げた。

「えー? どうしたの? 掴んでいいんだよ。どうぞ。アタシも掴むからさ」

言いながら、マリナは堅くなったタカヒコのペニスをしごき始めた。
タカヒコは童貞で、もちろん女の子にペニスを触ってもらったことなどなかったため、今まで考えもしなかった射精感が、急速に彼の下半身に近づいてくるのが分かった。

「ま、待って! ヤバイ! ヤバイから!」

「ヤバイって? 何がヤバイの?」

対してマリナは、どのくらい性経験があるのかは本人しか知らないが、手慣れた様子で、タカヒコのペニスをしごき続けた。

「や、やめてくれ! 頼む! ヤバイから!」

部員たちが見ている前で射精するなど、金的を蹴られることの何倍も恥ずかしいことだった。
マリナの手を掴んでやめさせたかったが、どうしても手に力が入らないし、下手に彼女の体に触れれば、その柔らかさや体温がさらに自分を興奮させることになると思った。

「うーん。なにがヤバイかわかんないけど。そんなにヤバイなら、ギブアップすれば?」

マリナの狙いはこれだったようで、にっこりと笑いながらタカヒコに言った。
そのかわいらしい笑顔でさえ、今のタカヒコには危険である。

「あ…いや…それは…!」

「そうだよねー。じゃあ、試合続行で」

マリナの手がさらに激しく動こうとするのを感じて、タカヒコは声を上げた。

「ギ、ギブアップ! ギブアップするよ!」

彼の股間は、もう限界に達していた。

「勝負あり! マリナの勝ち」

ユラの手が上がり、女子チームの勝利が決まった。
異様な試合の様子を、多少の好奇心と共にじっと見ていた女子部員たちは、歓声を上げた。

「やったー!」

「先輩、さすが!」

対照的に男子部員たちは、静まり返っている。
部長であるタカヒコを責めるつもりは毛頭なかったが、色々な意味で、ここまで女子たちに圧倒されるとは思ってもいなかった。




「ハア…ハア…」

タカヒコは射精を免れた安心感と敗北感が入り混じった気持ちで、荒い呼吸を繰り返していたが、やがてマリナの手が、いつまでも自分のペニスを離してくれないことに気がついた。

「お、おい…」

「じゃあ、男子は負けたってことで、もう一枚脱いでもらいたいんだけど。なにも脱ぐものないよねー」

「え…?」

「なのでぇ。脱いでっていうか、ヌイて?」

マリナの手が、再び激しく上下運動を始めた。
どうやら彼女は今回、男子に徹底的に屈辱を与えるつもりらしかった。
勝負の流れとはいえ、ブラジャーを取って上半身を晒すことになってしまったのを、根に持っているようだった。

「お! あ…はぁ! ふぅ!」

一旦は静まったタカヒコの興奮が、再びレッドゾーンに突入した。

「ちょっとぉ。声、出しすぎだから」

「えー、部長、ヌカされちゃうの? 出ちゃうの?」

マリナはクスクスと笑い、ユラも面白そうに近づいてきた。
目を開ければどうしても二人の巨乳が目に入ってしまうタカヒコは、必死に目をつぶっていた。
絶え間なく押し寄せてくる快感に、腰を引いて、歯を食いしばって耐えていると、不意に背中に、何か柔らかいものが当たった。
むにょん、としたその感触は、タカヒコがそれまで感じたことのない柔らかさで、それがユラの二つのオッパイであることに気がつくと、ハッとして目を開けてしまった。

「ん? どうしたの?」

にっこりと笑うマリナの顔を見たときに、タカヒコの中で糸のようなものがプツンと切れた。

「あっ! ああっ!!」

マリナの手の中でペニスが脈打ち、大量の精液が先端から飛び出してきた。

「きゃーっ!?」

女子たちから悲鳴ともとれる歓声が沸いたが、タカヒコの耳には何も聞こえなかった。
射精の瞬間、全身の筋肉が限界まで硬直し、出すものを出してしまった後は、虚無感と疲労感に襲われる。
部活動中に、後輩や女子を含む部員たちの前で射精してしまったことを後悔するのは、もう少し時間が経ってからのことだろう。

「やー。出しちゃったねー。ちゃんと掃除しといてよ?」

自分がそうさせたというのに、マリナはタカヒコの射精に対して雑だった。
汚いものでも触っていたかのようにペニスを離してやると、タカヒコはがっくりと座り込んでしまった。
男の方は性的に興奮し、欲情して絶頂をむかえたというのに、女は欠片ほどもそんな気持ちがなかったということが、さらにタカヒコの劣情を膨らませた。

「ではでは。部長がこうやって率先してヌイてくれたので。男子のみんなもヌイちゃおっか?」

タカヒコの背中に胸を押し付けて、その射精をサポートしたユラが、すっかり意気消沈している男子部員たちに向かって言った。
え? と、まだ金玉の痛みに苦しむツカサ達を含め、男子たちは全員顔を上げる。

「そ、そんなこと…」

「ん? できない? できないってさ、マリナ」

「んー。じゃあね、これから毎日、女子たちの金的蹴りの稽古に付き合うってことでもいいよ。絶対手加減しないけど。あ、金カップもなしね」

「あ、それいいね。そうしようか」

「いいよ。楽しそう」

女子たちの中からも、同意する声が上がった。
今までも組手の最中などに金的蹴りを食らってしまうことがあったが、そのたびに男子たちは男の苦しみを味わっていた。
それを毎日、しかも手加減しないとなると、どのような地獄絵図になるのか、想像するのも嫌だった。

「そ、そんな…」

今もなお金的蹴りの痛みに苦しむツカサが、泣きそうな顔をした。

「なに? それもイヤなの? いい加減にしてよね。あれもイヤ、これもイヤって。負けたんだから、男らしく罰を受けなさいよ!」

「そうだよ。アタシたちだって、裸になるのを賭けたんだから。男子にも恥ずかしい思いをしてもらわないと、釣り合わないよ?」

ツカサを始め、男子たちは言葉がなかった。
この究極の選択でどちらを選ぶかは、男としては明白だった。



10分後。

「うっ!」

「ああっ!」

「はあっ!」

正座をした男子部員たちが一列に並び、下半身を露出させ、自らの肉棒をしごいていた。
何人かはすでに絶頂をむかえてしまい、一瞬の満足感と永く消えない羞恥心にがっくりとうなだれている。

「えー、男子ってこうやってするんだぁ」

「すっごい手を動かしてるね。あ、また速くなってきた。ねえ、動画撮っていい?」

「ねえ、恥ずかしくないの? 女の子の前でさ。え? もうイクの?」

同級生や後輩の女子部員たちに見られながら、男子たちは屈辱的な自慰行為を強いられていた。
何人かの男子は、こんな状況で興奮できるものかと思っていたが、ユラやマリナをはじめ、ブラジャーを外した女子たちの胸がまださらけ出されたままだったので、男の子たちの体は、本人たちが思っている以上に簡単に反応してしまったのだった。

「う…あ…!」

ほとんどの男子たちが射精し終わった後、最後にツカサが残ってしまった。
ツカサのイチモツはビキニパンツから大きくはみ出して天を突いており、女の子たちに言われるまましごき続けていたが、彼に残されたわずかなプライドが、射精に至るのを防いでいた。
結果、女子部員全員の目がツカサに集中してしまうことになった。

「ツカサぁ。アンタ、まだイカないんだ? 最後になっちゃったよ」

先ほどツカサの股間を思い切り蹴り上げたユラが、目の前に来た。
金的蹴りの痛みはまだしっかりと残っていて、それも射精に至らない理由の一つだったが、彼女の方はそんなことなど忘れてしまっているようだった。

「なに我慢してんの? もしかして、また蹴られたいの?」

「えー、そうなの? ユラの金的蹴りで、目覚めちゃった?」

女子たちは勝手な想像を口にしていたが、ツカサは言い返すことができなかった。
やがてユラの右足がツカサの股間に伸びて、彼がしごいているペニスの下にある膨らみを踏みつけた。

「うっ!?」

それはまだ痛みを感じるほどではなかったが、ユラがその気になれば、すぐにでも睾丸を圧迫できるはずだった。

「ほらぁ。早くイキなよ。また痛くしちゃうよ? ほらほら」

ユラは言いながら、リズミカルにツカサの睾丸を踏みつけた。
ビキニパンツに包まれたその膨らみは、ユラの白い足の下で、ゴムボールのようにグニャグニャと変形している。

「あっ! うっ!」

ツカサの口から吐息が漏れる。
痛みと快感のきわどい境界線にいる感覚だった。

「えー? これがいいの? 電気あんまみたいなヤツ? ほらほら。どう?」

ユラは踏みつけながら、さらに指先を使って、ツカサの睾丸をマッサージするように転がしてみた。
ツカサはさらに喘ぎ声を上げる。
下半身の感覚が股間に集中し、猛烈なスピードでペニスをしごきはじめた。

「うう…ああっ!!」

右手のスピードが最高潮に達したとき、不意にその動きがピタリと止まり、ツカサが体を震わせた。
ビュルッ! と音を立てるようにして、ペニスの先端から白い液体が飛び出してきた。

「きゃーっ!?」

ユラは慌てて足を引き、体をのけぞらせる。
目の前を、ツカサの精液が糸を引くようにして通り過ぎていった。

「あ…ハア…ハア…」

ツカサは放心状態で、自分が出した精液が道場の床に飛び散っていくのを眺めていた。
数秒間の沈黙の後、弾けるような笑い声が女子たちから上がった。

「すっご! めちゃくちゃ飛んできたんだけど! ヤバくない?」

「水鉄砲みたいだね。なんでそんなに飛ぶの?」

「これが射精っていうんでしょ? ウケる!」

集団で笑い合う女の子たちを止める方法を、男たちは持っていない。
ただ、自分の最もプライベートな部分を女の子に見られてしまったという、一生忘れることのできない恥辱を感じ、うなだれているだけだった。

「すっごいのが見れたね。あー、面白かった。じゃあ、男子は掃除しといてね? すごい臭いだよ、これ」

「ホントホント。明日も部活するんだから、しっかり掃除しといてよ」

マリナとユラが指示を出し、男子たちは無言でうなずくことしかできなかった。
部長のタカヒコは、もうずっと前から顔を上げようともしない。
そこにマリナが声をかけた。

「タカヒコ、一応聞いとくけど、来月もやる?」

「え…? あ、いや…もう…」

タカヒコが男子部員たちを見回すと、みな無言だったが、言いたいことはしっかりと伝わってきた。
もうこれ以上、急所を蹴られる痛みや屈辱を味わいたくはない。
そんなことをするくらいなら、おとなしく雑用や掃除をしている方が百倍ましだと、ようやく男子たちは気がついたようだった。

「だよねー。じゃあ、これからはずっと掃除とかいろいろ、よろしくね?」

マリナはその答えを予期していたかのようにうなずいて、にっこりと笑った。
女の子たちが笑いながら引き上げていく様子を、男子たちは直視することができなかった。




終わり。


// ホーム //
Powered By FC2ブログ. copyright © 2024 金玉を蹴る女達 all rights reserved.
カテゴリ

月別アーカイブ
訪問者数

検索フォーム

リンク