あれはカズキが1年生の時、誰もいない部室で着替えをしている時だった。陸上のユニフォームを着るときには、下着も専用のインナーをつけるので、下を全部脱がなければならない。カズキがまさにインナーをつけるために全裸になったところで、マキが部室に入ってきたのである。
「あ…!」 カズキは慌てて服で前を隠したが、完全にマキに見られてしまった。しかしマキは1年生のころから気が強く、少し驚いた顔をしただけで慌てる様子もなかった。 ジャージ姿のまま入口に立ち止まって、少しカズキを見つめた後、何か言おうとして、ツカツカと歩み寄ってきた。 折り悪く、カズキのスポーツバッグの中から、友達から初めて借りたグラビア雑誌がはみ出ていた。マキはカズキの側まで来て、それを発見すると、無言のままカズキを軽蔑したような目で見つめた。
「あ、あの…。着替え…」
カズキの言い訳に聞く耳を持つ気など、マキは毛頭なかった。
「変態!」
ゴスッ!
マキのひざ蹴りが、問答無用でカズキの股間に深々と突き刺さった。 カズキはそれまで金玉を蹴られたことなどなかったため、一瞬、何が起こったのか分からなかった。しかし、やがてこみ上げてきた猛烈な痛みに思考は停止し、マキの足元にひざまずくように崩れ落ちてしまった。
「部室で、エロいことするとか、最低だな!」
もだえ苦しむカズキにそう言い放って、マキは部室を出て行った。 ピシャリと閉めたドアの外には、部員が使う「着替え中」の札がかかっていた。
あれ以来、マキはヨウコとともにカズキのことを「バカズキ」と呼ぶようになり、部内の女子たちのカズキを見る目も、少し変わってしまったような気がしていた。 あの時もマキの誤解。そして今回も、誤解と呼ぶにも馬鹿馬鹿しい決めつけで、再び金玉を蹴られてしまったのだ。カズキは痛みと屈辱で泣いてしまいそうになるのを、かろうじてこらえていた。
「しばらくおとなしいと思ってたら、今度は人のユニフォームを盗むとはね。やっぱりバカズキの変態は治らないか」
「ホントだよね。ちょっと今回は、部長として本格的にシメてやろうと思ってるんだ。とりあえず、コイツ、また逃げようとすると思うから、服を脱がしちゃおうか」
「そうだね。いくら変態でも、裸で外には逃げられないでしょ」
二人はゆっくりと、カズキに手を伸ばした。 カズキは二人の会話を聞き、必死で抵抗する意思を示した。 金玉の痛みに耐えながら、残る力を振り絞って、全力で自分のズボンのベルトをおさえたのである。
「何してんの? 変態のくせに」
「そうそう。ホントは脱ぎたいんでしょ、女の子の前で」
二人は言葉でなぶりながら、カズキの制服を脱がしていく。くすぐったりしながら、あっという間に上半身は裸にしたが、カズキが必死で抵抗するため、ズボンだけは脱がすことができなかった。
「ちょっと! いい加減にあきらめなさいよ。バカズキが」
カズキは何と言われても、必死でズボンをおさえていた。
「ふーん。バカズキのくせに、生意気じゃない。でも、後悔するよ」
マキは不敵な笑いを浮かべて、カズキのそばにしゃがみ込んだ。
「ユイちゃん、よく見ててね。男を懲らしめるには、これが一番効くから」
そう言って、マキはおもむろにカズキの股間に手を伸ばすと、そこにある2つの塊を、ズボンの上からギュッと握りしめた。 カズキは瞬間、はっと目を見開いた。マキは意地悪そうな微笑みを浮かべている。
「ぐえぇぇ!」
マキがカズキの金玉を握る手に力をこめると、カズキは苦しそうに呻き始めた。
「どう、ユイちゃん? 男には、これが一番効くからね。覚えといて」
「は、はい」
ユイは思わずうなずいた。 カズキはその間も、喉の奥から絞り出すような声を上げている。
「あぐぐぐ!」
「おい、バカズキ! お前が抵抗するから、こうなるんだよ」
「そうそう。無駄な抵抗はやめて、さっさとズボン脱ぎな!」
「い…いやだ…!」
カズキに残された男のプライドが、断固として拒否していた。 マキとヨウコはカズキの予想外の抵抗に少し驚いたが、すぐに鼻で笑った。
「そう。それならもうちょっと、痛くしてあげようか? 言っとくけど、私はまだ、全然力こめてないんだからね。それ!」
マキがさらに強い力で、カズキの金玉を握りしめた。
「はうぅぅ!」
カズキは激痛でさらに背中を丸めて腰を引くが、マキの手を振りほどけるわけではない。マキの手首を握って抵抗するが、金玉を握られた状態では、力が入るはずはなく、意味がなかった。
「これで40パーセントくらいかなあ。もっといけそう?」
マキは苦しみにゆがむカズキの顔を見て楽しそうに笑い、さらに手のひらの中でグリグリと金玉をもてあそんだ。
「ふう…ふう…」
カズキの呼吸が荒くなってきた。 2つの睾丸から発せられる痛みは、下腹部全体に広がり、さらに胃の方にまで響いてきて、吐き気を誘う。重苦しく、それでいて電撃のようにしびれる痛みだった。
「あんまり意地はってると、金玉潰れるよ?」
ヨウコもまた、男の最大の痛みに苦しむカズキの姿を、面白そうに眺めている。
「あの…その、それが潰れたら、どうなるんですか?」
ユイは少し離れてカズキの様子を観察していたが、いかにも不思議そうな様子で素朴な疑問をぶつけた。
「え? 金玉が潰れたら? んー、どうだろう。女の子になるのかな?」
「バカズキが女の子になるの? ありえないね」
「だよね。まだチンポはついてるんだし、男のままなんじゃないの? まあでも、かわいそうだから、カズコちゃんって呼んで、少しは仲良くしてあげるか」
「そうだね。チンチンが勃たなくなるくらいのもんでしょ。エロいこともできなくなるから、ちょうどいいじゃない」
「そうか。じゃあ、潰しちゃおうか、こんな金玉。よーし!」
マキは嬉々として、さらに力をこめるそぶりを見せた。 カズキは3人の無邪気な会話に、背筋が寒くなる思いがして、慌てて声を上げた。
「ま、待って! 脱ぐよ。脱ぐから、もうやめて…」
カズキはついに降参した。 実際、睾丸の痛みは限界に達していたし、これ以上強い力で握られるとなると、想像もしたくない。 カズキの目には、痛みと悔しさで涙がにじんでいた。
「なーんだ。もうギブアップすんの? 最初から、抵抗すんなよな、バカズキ」
マキはちょっと残念そうな様子で、カズキの股間から手を放してやった。 カズキはすぐさま金玉の無事を確認するように、両手で股間をおさえたが、女の子たちにそんな男の気持ちと痛みが分かるはずはなかった。
「何してんの? 早く脱ぎなさいよ」
無情なほど冷静に、ヨウコは命令する。 カズキは痛みと恐怖に震えながら、ズボンのベルトを外して、ずり下げた。 白いブリーフが、3人の女子の前にあらわになる。 ユイは恥ずかしがりながらも、横目でチラチラと観察し、マキとヨウコは動じる様子もなく、カズキの下着を観察した。
「プッ。やっぱり、白ブリーフか。ダッサイなあ」
「何してんの? 早くパンツも脱ぎなよ」
え? と、カズキは下から3人を不思議そうな目で見た。
「全裸になるの。フルチンよ、フルチン。パンツ一丁だと、アンタくらいの変態なら普段着でしょ。また逃げちゃうじゃん」
「早くしてよ。それとも、今度は私に握られたいの?」
ヨウコはカズキのブリーフのもっこりした部分に、軽く手を当ててみせた。 カズキは死ぬほど恥ずかしかったが、先ほどの金玉の痛みはまだ鮮明に体に残っており、あれをもう一度経験するくらいなら、全裸になることを選ぶしかなかった。 カズキはついに、ポロポロと涙を流しながら、パンツを脱いだ。 同級生ばかりか、下級生の女の子にまで全裸姿を見られてしまうというのは、なんという屈辱だろうか。 しかしそれ以上に、金玉を潰されるのは恐怖だし、あの痛みはすべての選択肢を閉じさせるものだった。
「おいおい、泣いてんの? ウケる! バカズキ、泣いちゃった」
マキは楽しそうに笑った。 カズキは歯を食いしばりながら、全裸で部室の床にあおむけになった。 周りには3人の女の子たちが、自分の裸を見ている。 しかし最後の抵抗で、両手でイチモツだけは隠していた。
「なに隠してんの? 手、どけなよ」
「おい、バカズキ!」
カズキはやむなく、両手を放して、気を付けの体勢になった。 カズキのイチモツが、女の子たちの前にあらわになる。
「うわあ。相変わらず、小っちゃいチンポコだな。1年のころと、全然変わってないじゃん」
「弟のより、だいぶ小さい。毛も生えてない。ツルツルの、お子様チンポだね」
「ヨウコの弟って、小学6年生だっけ? ヤバいじゃん、バカズキ。小学生にチンポ負けちゃってるよ」
カズキは屈辱的な言葉を浴びせられても、言い返すことなどできなかった。
「まあ、バカズキだからね。しょうがないか。じゃあ、ユイちゃんのユニフォームをどこに隠したのか、正直に言ってもらおうか」
あまりの苦しみと恥ずかしさのために、忘れかけていた濡れ衣だった。カズキは最後に残った人間としてのプライドで、これは否定したかった。
「だから、それは俺じゃないって…ぐぎゃあ!」
マキが再び、カズキの金玉を握りしめた。
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