「アンタね、自分が何したか、分かってるの? これは立派な犯罪よ。イタズラじゃすまないのよ」
「は、はいぃ…」
「ホントに分かってるの!」
矢島は痛みで返事をするどころではないのだが、そんな矢島の態度にハルカは苛立ち、つい、金玉を握る手に力を込めてしまった。
「あうぅ!」
矢島は情けない声をあげる。 そんな矢島の姿とハルカの迫力に押されて、田中と中島は、まったく動けなかった。
「ここが痛いんでしょ? 放してほしいの?」
ハルカは矢島の金玉を、コロコロと転がしてみせる。 すでに相当な圧迫を受けて痛めつけられた矢島の金玉には、軽く触るだけでも激痛が走る。 ましてこんな風に手の中で転がされると、下半身から力が抜けて、呼吸さえ思うようにならなくなってくるのだ。
「はい。はい!」
矢島はかすれるような声で、必死にうなずいた。 いつの間にか、矢島はハルカの肩にしがみつくように寄りかかっていた。すでに矢島の足に力は入らず、しがみついていなければ、ひざから崩れ落ちてしまう。そうなれば、捻りあげられている金玉で自分の体重を支えなければいけなくなるだろう。 まだハルカのシャツは破けたままで、ブラジャーからこぼれ落ちそうな乳房が目の前に迫っているのだが、そんなものを眺めている余裕など、まったくなかった。
「そうね。ま、いいでしょう」
ハルカは意外にも、すんなりと矢島の金玉から手を放した。 しかし、矢島が痛みから解放されたのは、ほんの一瞬のことだった。
ドスッ!!
と、ハルカの強烈なひざ蹴りが、矢島の股間に突き刺さったのである。
「これでしっかり反省しなさい!」
「うええ!」
矢島はこみ上げてくる強烈な痛みに、背筋に寒いものすら感じた。 汗が一瞬にして冷たくなり、下腹の方から、吐き気と痛みが同時に押し寄せてくる。もはや立っていることなど不可能で、矢島は股間をおさえて海老のように背中を丸め、激しく痙攣ながら、廊下をゴロゴロと転がり続けた。 えづくように嗚咽しながら、胃液の混じった吐しゃ物を撒き散らしている。
そんな矢島の姿に、田中と中島は、今まで続いていた先ほどの金的蹴りの痛みも忘れるほどの恐怖を感じた。
「あらら。キレイに入っちゃったかな。痛そうね」
ハルカは暴れる矢島の姿を見ながら、落ち着いた様子で衣服を直し、先ほど矢島が落としたカッターナイフを拾い上げた。
「アナタ達!」
ハルカはまだ座り込んでいる田中と中島に厳しい調子で声をかけた。
「どういうことなのか、説明しなさい」
「あ…あの、矢島が…誘ってきたんです。先生を…その…」
「襲ってやろうって?」
「は、はい」
田中はハルカの迫力に押され、ためらいながらもうなずいた。
「矢島が、最初に言ったんです! 俺たちは…ただ、ついてきただけで…」
中島は必死に弁解する。 ハルカはそれを聞いて、無言で中島の方を睨んだ。
「…アナタ、中島君だっけ?」
「は、はい」
「ちょっと、背筋を伸ばして、ちゃんとしなさい」
「はい」
中島は何のことか分からなかったが、ハルカに逆らうことへの恐怖を感じ、まだ金玉に痛みは残っていたが、それをこらえて、正座したまま背筋を伸ばした。 ハルカは中島の前に立ち、厳しい表情で見下ろしている。
ドスッ!!
突然、ハルカは座ったままの中島の股間に、つま先をめり込ませた。
「ぐえ!」
「人のせいにしないの! アンタも私の胸を触ったでしょ! 男なら、自分の罪を認めなさい!」
「は、はいぃ」
中島は再び、股間をおさえて丸くなった。
「アナタもよ! 三人同罪なの。ちゃんと分かってるの!」
ハルカは田中の方を睨みつけて言った。 田中は電撃に打たれたように、激しく反応して、うなずいた。
「はい! はい!」
「そう。じゃあ、アナタも立って。もうちょっとお仕置きをしないといけないから」
田中の顔から、一気に血の気が引いていった。
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