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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


「ファルコーン! そんな男、やっつけちゃえー!」

「アンタも金玉潰されるわよー! 男はみんな、同じなんだから」

客席の女性たちは、ファルコンの勝利を信じて疑わないようだった。
一方の男性客たちは逆に、チャンピオンのライバルである岡田の参戦に、大きな期待を寄せているようだった。

「いけー! 岡田―!」

「そんな女、ぶっ飛ばせー!」

「おおっ!」

岡田は気合と共に、ピンクファルコンに向かっていった。
両手を振りかぶって掴みかかろうとし、ファルコンもその両手を掴み、また手四つの状態になった。

「それっ!」

しかし、今度のファルコンは素早かった。
両手がふさがって、力比べになる前に、いきなり岡田の股間を蹴りにいったのである。

「おっと!」

しかし、岡田はこれを予期していたようで、素早く腰を引いてファルコンの蹴りをかわした。
思わずニヤリと、笑みがこぼれる。

「おおーっとー! ピンクファルコンの必殺の金的蹴りが、空振りしたー!」

岡田はそこで素早く両手を外すと、ファルコンの腰を掴んで、後方に反り返るようにして投げ落とした。

「スープレックスー! ファルコン、ピンチかー!?」

ドスン、という音がして、ピンクファルコンは後頭部からリングに叩きつけられた。
岡田は投げ終えた後も、鍛え抜かれた肉体で美しいブリッジの体勢を見せた。これが本当のプロレス技だと言いたかった。

「どうだ、こらぁ!」

まだ終わりではなかった。
岡田は素早く立ち上がると、さすがに脳震盪でも起こしたのか、起き上がろうとしないピンクファルコンの両足を掴んだ。

「いくぞー!」

観客席を挑発するように指をさす。
そして岡田は、一気にピンクファルコンの体を持ち上げ、回転し始めた。
プロレスの最も代表的な技の一つ、ジャイアントスイングだった。

「うおおっ!」

ピンクファルコンの長い黒髪が、糸を引くようにして回った。
相手の平衡感覚を失わせることが目的で、実際的なダメージは少ない技だったが、力のない者には決してできない。
岡田が男の力強さをアピールするためには、最高の技だった。

「おおらっ!」

何回転かの後、コーナーポストに向かって放り投げるようにして、岡田はピンクファルコンの両足を離した。

「うう…!」

投げ飛ばされたファルコンはぐったりと手を伸ばし、苦しそうな声を上げた。
岡田のジャイアントスイングがかなりの高速回転だったためか、頭に血がのぼってしまったようだった。

「見たか、こらぁ!」

岡田は、野生動物が威嚇するようにピンクファルコンに向かって吼えた。
そしてまだぐったりとしている彼女をまたいで、コーナーポストに向かい、ロープの二段目に両足をかけた。
あえてファルコンに背を向けて、観客席に向かってアピールする。
これから、バック転をしてボディプレスを仕掛けるつもりだった。

「おい! おい! おい! おい!」

岡田は自ら手を叩いて、リズムを取り始めた。
やがて観客席の男たちも、両手を叩いて手拍子をする。
それが最高潮に達したとき、ピンクファルコンに向かってダイブするつもりだった。
しかし。

ガシィッ!

いつの間にか立ち上がっていたピンクファルコンが、大きく股を開いてロープに立っていた岡田を、背後から不意打ちした。
もちろん、狙いは金的である。

「はうっ!!」

ピンクファルコンのかち上げを股間にくらった岡田は、目を見開いた。
そしてそのまま、力なくロープを滑り落ち、リングマットの上に大の字になってしまう。

「ピンクファルコン、ふっかーっつ! これは痛いぞ、岡田―!」

「うう…く…!!」

岡田は額に脂汗を流して、もがいていた。
すると、ピンクファルコンが素早くリングを降り、コーナーポストの向こう側に立った。
そしてそこにあった岡田の両足首を、しっかりと握る。

「おおっ! ファルコン、岡田の足を掴んだ! これはまさか…!」

「おっ! や、やめ…!」

岡田はファルコンの意図を敏感に察して、必死に首を横に振った。
しかしファルコンは、マスクの下でニヤリとほくそ笑んだ。

「そおれっ!」

ファルコンが岡田の両足を思い切り引っ張ると、当然のこととして、コーナーポストに岡田の股間が直撃することになる。

ゴォン!

と、鐘を突くような音がした。

「はぐうっ!!」

大の字に寝そべっていた岡田は、一瞬で起き上がった。
股間から湧き上がってくる激痛に顔を歪め、コーナーポストを抱くようにして痛みをこらえている。

「ファルコンの、鐘突きー! 今年最後の試合で、除夜の鐘を打ち鳴らしたー! これで岡田の煩悩も、粉砕されてしまったかー!」

男たちにとっては、寒気がするような鈍い音だったが、女性たちは爆笑していた。
中には岡田の情けない姿に、涙を流して笑っている者までいる。
ピンクファルコンは、女性たちの声援を浴びながら、再びリングに上がった。

「あらあら。痛かったみたいね」

両手でコーナーポストにしがみつき、奥歯を噛みしめながら痛みに耐えている岡田を見下ろしながら、仁王立ちしていた。

「金玉なんかぶら下げてるから、やられちゃうのよ。女が本気を出せば、男は絶対勝てないんだから。そこで、よおく見てなさい」

自らのすっきりとした股間を見せびらかすかのように、突き出して見せた。
そしてファルコンは、すでに立ち上がることもできなさそうな岡田を放っておいて、リングの中央付近でまだうずくまったままの小林の方へ歩み寄った。

「さあて。それじゃあ、とどめを刺してあげようかな?」

小林は、ピンクファルコンに岡田が敗れたことを悟り、苦しそうに顔を歪めながらも立ち上がろうとした。
股間には、さきほどファルコンに握りしめられた金玉の痛みが、まだジンジンと残っていたが、それでも常人よりはるかに痛みには強いといわれるプロレスラーである。
腹の中を掻き回すような痛みと不快感をおさえて、立ち上がった。

「フン。さすが、チャンピオンだね。そらっ!」

ファルコンは、両手でぐらつく膝をおさえながら、ようやく立っている状態の小林の顔面に、強烈な張り手を放った。

パチィン!

と、高い音がリングに響く。
続けて二発、三発と、ファルコンは張り手を打ち続けた。

パチィン! パチィン!

顔面をひどく打たれても、小林はそれを防ごうともしない。
こんな打撃は、彼にとっては肩を叩かれるのとそう変わらない、あいさつのようなものだった。
ピンクファルコンの方も、それは十分承知していて、ただ小林をいたぶっているだけのようだった。

「ほうらっ! さっきのお返し!」

するとファルコンは、小林の頭を抱えて、ヘッドロックの体勢になった。
しかしそれは女の細腕で、先程小林がかけたヘッドロックと比べれば、明らかに威力はなさそうだった。
それでもファルコンは、これを試合のクライマックスにしようと、片手を上げて観客にアピールした。

「ぐぅ…! この野郎ー!」

女性客たちの歓声が飛ぶ中、小林は最後の意地で、ピンクファルコンの腰に手をかけると、一気にその体を持ち上げた。

「くらえーっ!」

ヘッドロックをかけられたまま、ファルコンにバックドロップをかけようとしたのだ。

「キャーッ!」

「ファルコーン!」

高々と持ち上げられたファルコンを見て、ファンの女性たちは悲鳴を上げた。
しかし。

「おっと!」

ピンクファルコンは素早く手を放すと、流れるような身のこなしで小林の技をはずし、そのままくるりと回転して、着地した。

「えいっ!」

そして、小林の背後から、バシン! とその股間を蹴り上げた。

「はぐっ!!」

技をかけたと思ったら、いきなりまた金的蹴りをくらい、小林は目の前が真っ暗になるような衝撃を受けた。

「さあ、とどめ!」

そしてピンクファルコンは、後ろから小林の両脇に手を回し、渾身の力を込めて、その巨体を持ち上げた。

「んんーっ!」

「おっ! おっ!」

まさか小林も、100キロ近くある自分が持ち上げられるとは思っていなかった。
そしてその股間に、ピンクファルコンのピンク色のブーツが深々と入っているのが目に映った。

「おおーっと、これはー! ピンクファルコンの必殺技かー!?」

「いくよーっ! キーンッ!!」

ピンクファルコンが小林を降ろし、その股間を自分の膝に叩きつけた瞬間、観客席の女性たちからも、一斉に「キーン!」という声が飛んだ。
本来なら、相手の尾てい骨を攻撃するアトミックドロップという技だったが、ピンクファルコンは膝の角度と相手の位置を微妙にずらして、金玉を攻撃する技にアレンジしているのだった。

「ぐええっ!!」

結果、小林の金玉は自らの体重とファルコンの膝に押しつぶされ、潰れる寸前にまで圧迫されてしまうことになる。

「あ…か…!!」

ファルコンが手を放すと、小林は白目をむいたまま、リングに倒れ込んでしまった。

「決まったーっ! ピンクファルコンの、アトミック金ドローップ!! さすがの小林も、これは立てないかーっ!!」

リングアナが絶叫した直後、ゴングが鳴らされ、試合終了となった。

「よーっし!!」

ピンクファルコンは高々と手を挙げ、女性客たちから万雷の拍手が送られた。
その間も、リング上にいる岡田はまだコーナーポストを抱いて苦しみ続け、小林は白目をむいたまま、ピクリとも動かなかった。
そしてそれを見ている男性客たちは、あまりに衝撃的な結末に、まったく声を発することができなかった。

「みんな、今日はありがとー!」

リングアナからマイクを借りたピンクファルコンが、手を振った。

「みんな、見たでしょう? 男はね、いくら体を鍛えて、こんなにムキムキのマッチョになっても、絶対鍛えられない場所があるの。それはどこ?」

観客席に尋ねるように、マイクを向けた。

「金玉ー!」

女性客たちは、声をそろえて答えた。

「え? もう一回言って?」

「キンタマー!!」

そう言った女性たちは、嬉しそうに笑っていた。

「そう! その通り! 男はいくら頑張っても、金玉がある限り、女には勝てないってことだね! じゃあ、また! ありがとー!」

ピンクファルコンは最後に手を大きく振って、リングを飛び降りると、後も見ずに走り去っていった。
リング上に残された男たちが担架で運ばれていったのは、その数分後だった。



終わり。



試合が終わった後、観客たちが会場を出るときに、ちょっとしたトラブルがあった。
試合を見て、興奮してしまった男性客の数人が、一部の女性客たちに因縁をつけたのである。

「てめえ、なめんじゃねえぞ!」

「なによ! そっちが悪いんでしょ!」

きっかけは、肩がぶつかったとかぶつかっていないとか、些細なことだった。
しかし、あまりに衝撃的な試合の後だったので、両者とも興奮していたらしい。
一人の男が、女性の肩に手をかけたその瞬間、

「はうっ!!」

ピンクファルコンさながらの金的蹴りが、男性客を襲った。
そこからは、悲惨であった。
「男の弱点は金玉」と、ピンクファルコンの試合を見て刷り込まれてしまった女性たちは、男にすごまれても、びくともしなかった。
逆に次々と男たちの急所を蹴り上げ、あっという間にKOしてしまったのである。
中には、女性たちに取り囲まれて、何度も金玉を蹴られてしまう男もおり、運営側が仲裁に入った時には、すでに数人の男たちが、床に転がって呻いている状態だった。

「なんだ。男って、こんなに弱いんだね」

「金玉蹴れば、一発なんだ」

「男のくせに。情けなーい」

「私、女で良かったー」

周りで見ていた女性たちが囁く中、その場にいた他の男性客たちは、背中を丸めて、おどおどとした様子で帰っていった。




最高でした。強い男も女の前では無力という感じが本当に好きです。
[2014/12/20 Sat] URL // 7 #- [ 編集 ] @
設定が良いですね。
あとは、ピンクファルコンがフォールした時など、胸があたるような絡みと、それに伴う男性の勃起も表現されると、もっと男女差が出るかなと思いました。
いつも楽しませてもらっています。
これからも、期待してます!
[2014/12/20 Sat] URL // #- [ 編集 ] @
これで男が泣きながら女にやめてくれと頼んでたらもっとおもしろそうです。
いつもありがとうございます。
[2014/12/30 Tue] URL // #- [ 編集 ] @

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