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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。

「サヤカちゃん!」

駆け出しのは、今までサヤカの鮮やかな金的蹴りに見とれていたマユだった。
ケンイチがサヤカの背後から一撃を加えようとしたのを見ると、反射的にマユの足が動き、それはケンイチの無防備な股間に、ごく自然な形で吸い込まれるように命中したのである。

バシン!

と、気持ちのいい音がして、ケンイチの金玉は、マユの小さな足の甲に叩き上げられてしまった。

「うおっ!」

まったく予想しなかった所からの攻撃に、ケンイチは一瞬、何が起こったのかも分からなかったが、下腹部から湧き上がってきた強烈な痛みで、自分も戦闘不能になったことだけは、すぐに理解できた。

「マユちゃん! ありがとう。やるじゃない」

「あ…。私、蹴っちゃった…。タマ…タマ…」

マユは自分のとった行動が信じられないというように、呆然としていたが、目の前で崩れ落ちるケンイチの姿を見て、何が起こったのかを理解したようだった。

「どんどん蹴っちゃっていいよ、こんなヤツら。後ろから蹴るなんて、アンタの方がよっぽど卑怯じゃない。ねえ、聞いてんの?」

サヤカは、地面に額を擦りつけて必死に痛みに耐えているショウタの髪の毛を掴んで、無理矢理顔を上げさせた。

「ねえ! 謝ってほしいんですけど」

ショウタは既に戦意喪失し、サヤカの気迫に恐怖を感じた。
謝ろうとするが、キンタマの痛みのせいで、うまく声が出ない。口をパクパクさせて、何か訴えようとしていた。

「はあ? ちゃんと謝りなさいよ。まだ痛い思いしたいの?」

サヤカはショウタの態度に苛立ち、ショウタが必死でおさえる両手の隙間から手を入れて、先ほど自分が蹴りあげたばかりの金玉を掴んだ。
サヤカはまったく力を入れてない状態だったが、蹴られた直後のショウタの金玉は、極端にデリケートになっていた。
触られただけでも、電撃のような痛みが全身に走った。

「はうう!」

「謝れって言ってんの。ねえ!」

サヤカはショウタを睨み付けて、金玉を掴む手に少し力を込めた。
ショウタは、金玉から湧き上がってくる次元の違う痛みに全身を痙攣させたが、最後に残った力を振り絞って、必死に叫んだ。

「ご、ごめんなざい! ごめんなざい!」

「なんだ。できるじゃん。それでいいのに。許してほしいの?」

サヤカはひとまず気をよくしたが、この際、さらにショウタをなぶりたい気持ちになった。

「ゆ、ゆるじでぐだざい! おねがいじまず!」

「ふーん。タマタマ、放してほしいの?」

ショウタは必死の形相でうなずいた。
その間も、サヤカはショウタの金玉を手のひらの中でコロコロと転がしている。

「じゃあ、放してあげる。男子はこんなタマタマがあって、弱くて、かわいそうだからね」

どれだけ屈辱的な言葉を浴びせられても、今のショウタには言い返す気力はなかった。
ただ、金玉を襲っているとめどない痛みから、一刻でも早く解放されたいという思いしかなかった。

「でも面白いから、最後にギュッとさせて」

サヤカは言葉通り、手を放す前に、ショウタの金玉を力を込めてギュッと握った。
ショウタはもはや叫び声を上げることもできなかったが、再び電撃のような痛みに全身を貫かれて、一瞬背筋をピンと伸ばすと、その後倒れ込むように地面に突っ伏し、ヒソヒソと泣き声をあげた。

「あー、面白かった。ねえ、アンタたちもギュッとしてほしい?」

サヤカは一連の様子を、恐怖の面持ちで眺めていたマモルとケンイチに笑顔で尋ねた。
マモルとケンイチは、必死で首を振った。

「すいませんでした! すいませんでした!」

「ごめんなさい! もうしませんから!」

二人はもはや必死で謝る以外の選択肢を持たなかった。
サヤカは年上の男の子たちの泣いて謝る姿に、ちょっとサディスティックな満足感を感じた。

「そっか。まあ、もういいよ。行こう、マユちゃん」

「あ、うん」

マユは今まで自分が恐れていた年上の男の子たちを、いとも簡単に叩きのめしたサヤカをほれぼれと見つめ、また自分も、少しその手伝いができたことに、密かな達成感を抱いていた。

「じゃあね。タマタマ、お大事に」

サヤカが立ち去ろうとすると、マモルとケンイチは、ホッとしたような表情を浮かべた。

「あ、言っとくけど、私が本気で蹴ったら、全然こんなもんじゃすまないからね。前に私に蹴られた男子は、その場で泡吹いて、おしっこ漏らして気絶しちゃったから。稽古中に当てちゃうこともあるかもしれないけど、そのときは頑張って、おしっこ漏らさないようにしてね。バイバイ」

サヤカの笑顔を見た三人の男の子たちは、もう道場をやめようかと、真剣に考えてしまった。

終わり。





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